親と子 2009/6/5 印刷用はこちら
高村 恵美子
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長く寒かった冬は終りを告げ、日増に明るさと暖さを下さる陽の光に、待ちに待った春の訪れを感ずる頃となった。陽の光がこんなにまぶしいものだったろうかと、驚くのも春ならではの喜びである。
どこからか可愛らしい鳥が飛んで来て、冬衣を脱いだ樹々に止り、何かをついばんでいる。親子連れなのか、一羽の後を小柄な一羽がついてゆく、ほほえましい姿を見せてくれるのも、春の楽しさであり、「天地の間に人間がいる。天は父、地は母である。人間また草木などみな天の恵みを受けて地上に生きているのである」との御教へを実感出来るのも、北国の春からである。
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この春と共にお迎えするのが天地金乃神大祭で、今年も事なく奉迎させて頂けることは有難いことである。
天地金乃神大祭は、私たちが一刻一刻生かされていることを始め、生きとし生けるものみなを立行かして下さっていることをお礼申し、「神と人とあいよかけよで立行く」という、天地金乃神様の願いを、一人一人が現せる信心を求め祈念してゆく祭典であろう。
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先日ある方から「子供がお世話になりました」という丁寧なお礼状に添えて銘菓を送って下さった。私としては当り前のことをさせて頂いたに過ぎないのに、親とは子がお世話になったことをこんなに喜んで、その思いを形に表わされることに、心をうたれた。
子が世話になったことを、喜び有難く思う親であれば、子が人に喜ばれることをしたら、もっと喜ぶことだろうと思われる。
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私たちを生かしめ立行かして下さる天地金乃神様は、「人間を神のいとし子」と愛で慈しんで下さり、世界の人人の助かりをひたすら願っておられる。
そして「人一人助ければ一人の神」とまでみ教え下さり、人の助かりが神の助かりであるとお示し下さっている。
神は親であり、人間は子であるとの親子関係であると考えると、前記のように、子が少しの人助けをしたとしたら、親(神)は大きく喜ばれる。このことからおして考えると、人の助かりを願ってやまない、天地金乃神様(親)の御心に叶うことをさせて頂いたら、親神様は喜ばれ、倍力の徳を下されることから「人一人助ければ一人の神」とまでお諭し下さって、「神(親)も助かり氏子(子)も立行く」という道が、ひらけて来るのではないだろうか。
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立教150年のお年柄に出逢わせて頂き、今までは自分(子)の助かりのみに力を入れた信心ではなかったか。これからは神様(親)に喜ばれる信心とならせて頂けるよう、目標をチェンジして、意義ある年とならせて頂きたい。
<平成21年5月24日>
亀田教会誌 灯 No.212より抜粋
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